年金だけで生活していくのは難しくなってくると言われている昨今、

「老後の生活費の実態はどのようなものなのだろう?」
とお考えの方も多いかもしれません。

今回の記事では、老後の生活の実態を数字で分かりやすく解説し、
その「問題解決の手段」についても、いくつかご紹介していきます。

みなさまの老後の生活構築のご参考に、お役立て頂ければ幸いです。

高齢者の生活実態

厚生労働省の「国民生活基礎調査(2021年)」によると高齢者1世帯あたり平均所得金額は332万円となっております。

総所得 稼働所得 稼働所得内
雇用者所得
公的年金 財産所得 社会保障
年金以外
企業年金・
個人年金等
332.9千円 71.7千円 58.7千円 207.4千円 22.9千円 2.1千円 28.8千円

 
構成比は公的年金62.9%、稼働所得21.5%、企業年金等8.6%、財産所得6.8%であり、公的年金のみで生活している世帯は24.9%です。

高齢者の稼働所得額

高齢者世帯の30.4%の方が働いておられますが、1人当たりの平均稼働所得は173万円であり、稼働者平均323万円の53.5%で約半分です。高齢者が就業して所得を得るのが難しい実情がわかります。

高齢者の生活意識

ゆとりがあると感じている高齢者の方はわずか5%です。

大変苦しい やや苦しい 普通 ややゆとりがある 大変ゆとりがある
23.3% 29.8% 41.8% 4.3% 0.7%

 
老後の最低生活費は282万円、ゆとりある生活費は453万円以上との調査結果がありますが、昨年来の物価上昇を鑑みると生活費は更に必要と思われます。

ゆとりある生活をおくる為には

生活費は年間453万円以上必要となりますが、標準的な基礎年金を受け取られている方だと追加で246万円以上が必要となります。

平均余命が延びている事も影響していると思いますが、資産をある程度お持ちの方でも取り崩して行く事にはかなり不安を覚え支出を抑えた生活をされています。

ゆとりある生活を送る為には毎年の収入が453万円以上であることが必要と思われます。

年金の補完手段

年金の補完については、以下のような方法が考えられます。

  1. 自分で貯蓄する 年金の額が十分でない場合、自分で貯蓄をすることで将来の生活を補完することができます。定期預金や外貨預金・外国債券、投資信託、株式投資など、自分に合った方法で貯蓄をすることが大切です。
  2. 個人型確定拠出年金に加入する 個人型確定拠出年金に加入することで、年金の補完ができます。この制度は、自分で運用することができるため、運用成績によって将来の受け取り額が変わってくるため、運用には注意が必要です。
  3. 生命保険に加入する 生命保険に加入することで、老後の生活を補完することができます。老後の生活費を支払うための掛金を支払い、将来の給付金を受け取ることができます。
  4. 不動産投資をする 不動産投資をすることで、収入を得ることができます。老後に不動産投資で得た収入を使って、生活を補完することができます。
  5. 太陽光発電所投資をする 太陽光発電所投資をすることで、最長20年間安定した収入を得ることが出来ます。

以上のような方法がありますが、どの方法が自分に合っているかは、自分のライフプランに合わせて考える必要があります。また、投資にはリスクがあるため、投資に関する知識を身に着ける事が大切です。

1.自分で貯蓄する

株式や株式投資信託等は大きな利益を得られる可能性は有りますが、元本を毀損する可能性も低くない為、年金の補完手段としては不向きかと思われます。

外貨預金・外国債券は金利は日本より高い傾向に有りますが、為替変動の影響を受けますし、国によってはデフォルトするケースもあり、やはり年金の補完手段としては不安があります。

比較的安定している円/ドルでも直近20年間で1ドル80円~150円と倍近く変動しています。現在の米国債の利回りは10年債約3.5%、20年債約3.8%ですから、元本毀損の可能性はあります。

預金は一番元本毀損の可能性が低いですが、10定期預金で金利は0.002%程度です。定期預金で年金補完額246万円/年を得る為には、なんと1,230億円の元本が必要です。そもそもそれだけ資金があれば老後の生活の心配とは無縁ですが。

2.個人型確定拠出年金に加入する

個人型確定拠出年金は税制面での優遇はありますが、基本的に運用は投資信託と同じですからポートフォリオの選択により元本毀損の可能性が有ります。

3.生命保険に加入する

生命保険にはいろいろな種類があります。

年金の補完としては変額個人年金保険と個人年金保険が対象になると思いますが、変額個人年金保険は仕組みは投資信託と同じですので、個人型確定拠出年金と同様に元本毀損の可能性があります。

個人年金保険は払込保険料総額を僅かですが上回る年金を受け取れ、かつ死亡保障が付いた商品もあります。流動性を除けば預金よりも年金の補完に向いているかも知れません。

4.不動産投資をする

マンションやアパートを所有し賃貸する方法とREITに投資する方法があります。

マンションやアパートを所有した場合毎月賃料が入ります。地域により利回りにばらつきはありますが4%~7%位です。

空室率の状況により収入が変動します。サブリースし安定化をはかる方法もありますが、収益は低下し空室率などにより契約内容の見直しが行われる為必ずしも安定的とは言えません。

REITは現在約60銘柄位上場していますが、3%~6%の利回りとなっています。家賃収入等により収益は変動しますが、複数の不動産を所有していますので直接不動産を所有するよりも安定的と言えるでしょう。

5.太陽光発電所投資をする

太陽光発電所を所有する方法と太陽光ファンドに投資する方法があります。

固定買取制度(FIT)により20年間安定した収益を得ることが出来ます。
自ら太陽光発電所を所有した場合、発電量の確認、必要に応じ修繕、夏場は数回の草刈り等結構管理に手間が掛かります。

太陽光発電所を所有する場合、新規に経済産業省に申請を行い施工する方法とセカンダリーを購入する方法がありますが、現在新規申請を行う場合固定買取価格は11円/kw前後となり、FITスタート時(2011年40円/kw)の約4分の1となっており高い収益を得るのは難しくなっています。

また低圧(50kw未満)は固定買取制度を利用出来くなった為、参入のハードルは高くなっています。

条件の良いセカンダリーを探すのはなかなか難しい状況です。
太陽光ファンドは現在5銘柄上場しておりますが利回りは6%前後です。

未上場の太陽光ファンドは利回り10%を超えているものもありますので、流動性を除けば未上場の太陽光ファンドの方が高い収益を得られています。

まとめ

年金の補完をする目的で有れば安定的に高収益を得られる投資を選考する必要があります。

不動産投資と太陽光発電所投資が有効と考えられますが、直接投資よりファンド投資の方が収益の安定性が高く、手間もかからないと言えます。

年金補完が目的であれば流動性はあまり重要でないことから収益性を優先し未上場のファンドを選ばれるのが良いかと考えます。