RE100 (Renewable Energy 100%)とは、企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブがあり、世界や日本の企業が参加しています。

RE100の意義

地球規模で災害が増加していますが、温暖化が原因と考えられる事象が多くを占めます。温暖化を防止するためには、化石燃料に代わる再生可能エネルギーの利用が必要です。RE100は、企業が100%再生可能エネルギーを使用することを目指すイニシアチブです。つまり、RE100は温暖化との直接的な関係を持ち、温暖化を防止するための重要な取り組みです。

再エネ電力の定義

・太陽光(熱)、風力、水力、バイオマス(バイオガス含む)、地熱

・調達方法にも規定あり

RE100の歩み

2014年に、国際非営利組織(NGO)であるThe Climate GroupとCDP(英国の慈善団体が管理するNGO)が協力して設立されました。運営はThe Climate Group がCDP とのパートナーシップのもとで主催しています。

世界の状況

環境省のデータによると2023年3月1日現在、23か国から399社が参加しており、参加企業数1位はアメリカ(99社)で2位は日本(78社)となっています。人口・経済規模を考慮すると比率では日本が世界一と言える状況です。

欧州においてはAkzo Nobel, DSM, Google, Philipの4社によって2017年に設立されたグリーンエネルギー購入コンソーシアムは約140,000世帯への電力供給量(140MW)をオランダの風力発電所から調達しています。

RE100に参加している国別企業数グラフ(上位10カ国)

[出所]RE100ホームページ(http://there100.org/)等より環境省事務局にて作成

 

日本の状況

日本では2017 年4 月よりThe Climate Groupとのパートナーシップの下、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が地域パートナーとして、日本企業の参加を支援しています。

2023年3月1日現在、建設業、電気機器、小売業を中心に78社が参加しています。その中には既に目標を達成している企業もあります。(2018年城南信用金庫)

RE100に参加している日本企業

業種 企業名
建設業 旭化成ホームズ, 安藤・間, インフロニア・ホールディングス, 熊谷組, 住友林業, 積水ハウス, 大東建託, 大和ハウス工業, 東急建設, 戸田建設, 西松建設, LIXILグループ
食料品 アサヒグループホールディングス, 味の素, キリンホールディングス, 日清食品ホールディングス, 明治ホールディングス
化学 花王, 資生堂, 積水化学工業
医薬品 エーザイ, 大塚ホールディングス, 小野薬品工業, 第一三共
ゴム製品 住友ゴム工業
ガラス・土石製品 TOTO, 日本ガイシ
非鉄金属 フジクラ
金属製品 ノーリツ
電気機器 アドバンテスト, カシオ計算機, コニカミノルタ, セイコーエプソン, ソニーグループ, ダイヤモンドエレクトリックホールディングス, TDK, ニコン, 日本電気, パナソニックホールディングス, 浜松ホトニクス, 富士通, 富士フイルムホールディングス, 村田製作所, リコー, ローム
精密機器 島津製作所, HOYA
その他製品 アシックス, オカムラ
陸運業 東急
情報・通信業 Zホールディングス, BIPROGYグループ, 野村総合研究所
小売業 アスクル, イオン, コープさっぽろ, J.フロント リテイリング, セブン&アイ・ホールディングス, 高島屋, 丸井グループ, ワタミ
銀行業 城南信用金庫
不動産 いちご、ジャパンリアルエステイト投資法人、東急不動産、野村不動産ホールディングス、ヒューリック、東京建物、三井不動産、三菱地所、森ビル
金融・保険業 第一生命保険, T&Dホールディングス
その他金融業 アセットマネジメントOne, 芙蓉総合リース
サービス業 エンビプロ・ホールディングス、セコム、楽天

 

 

RE100参加基準

幅広い企業が参加しているRE100ですが、参加には基準があります。業種により基準は異なりますが、大まかな基準は下記になります。

・年間消費電力が100GWh以上(日本企業は50GWh以上)で有る事

・年間消費電力が100GWh未満(日本企業は50GWh未満)の場合は事務局が重視している項目を1つ以上有している場合は加盟の可能性あり

・非対象企業(業種):化石燃料、航空、軍需産業、ギャンブル、たばこ、主業が発電

 

RE100参加要件

・RE100達成の目標年を2050年までと設定

・2030年までに60%、2040年までに90%の中間目標の設定

・グループ全体で加入(一定の条件下で例外有り)

・毎年進捗の報告義務(売上等企業情報、目標、電力消費の実績等)

RE100申込方法

申込書に国、企業名、業種、売上、従業員数、Twitterハンドル、全消費電⼒量、再エネ消費量、再エネ化率、⽬標(再エネ100%達成年、中間⽬標)を記入しRE100事務局(info@re100.org)へ提出。入会時に会費Gold(年会費$15,000)、Standard(年会費$5,000)の支払い。

 

まとめ

再エネ電力は、環境に優しく、化石燃料を使用しないため、温暖化防止に貢献することができます。また、再エネ市場の成長によりコストが低下しており、長期的な見通しでは経済的にも有利です。これらの理由から、再エネ電力の利用は、持続可能な社会を実現するために重要です。

但し現在再エネ電力は一般の電力よりも価格は高い傾向にあり企業の利益を圧迫しています。RE100の推進には私達個人の後押しが必要です。消費活動、投資活動も環境に配慮して頑張っている企業を応援する気持ちを忘れずに選択したいものです。